お給料
タクシードライバーを目指す方にとって、最も気になるのはお給料や待遇でしょう。タクシー会社の給与の計算はいたってシンプル。「基本給+成果給」となっており、基本給は会社によって違いますが、売り上げを上げれば上げるほど、成果給が上る仕組みになっています。
タクシーの利用が多い地域なら年収アップも期待できる
東京都では年間で約3億人がタクシーを利用している
東京都では公共交通機関が発達していますが、決まった時間、決まった駅にしか停まらないので、車と比べて利便性は低いです。
このため、タクシーの利用者は数多く、一般社団法人東京ハイヤータクシー協会調べでは、年間のべ3億人がタクシーを使っているとの調査結果が出ました。タクシーなら始発、終電といった時間の縛りはありませんし、行きたいところへ直接行けます。
高齢者の足代わり、子ども連れなど、タクシーは幅広いニーズがある乗り物です。
一日タクシー1台あたり約35人が利用している
一般社団法人東京ハイヤータクシー協会によると、東京のハイヤー・タクシーの台数は約4万台で、最も多いのが東京の都心、特別区・武三交通圏と呼ばれる地域です。
この地域だけで法人タクシーの台数は約3万台に及び、一日当たりの利用者数を換算すると、タクシー1台当たりで約35人が利用しているという数字に。ただし、すべてのタクシーが稼働しているわけではなく、人数も日によって大きく変動します。特に、イベントがある日はタクシー利用者は増加します。
タクシー利用料金の顧客単価は平均約1,500円
利用者によって走行距離は大きく異なりますが、平均すると一人当たり約4kmの利用に。これを顧客単価に換算すると約1,500円です。タクシーは走行距離に応じた金額を受け取るので、距離が長くなるほど単価がアップします。
もちろん、最も短い距離を走るケースもあれば、高速に乗って隣の県まで、というケースもあるので、この数字はあくまで平均と考えておきましょう。
タクシードライバーの平均給与
平均給与と言っても、ドライバーの経験によって売り上げが全く違います。タクシードライバーになればこのぐらいは稼げる、という平均的な金額はあまり参考にならないかもしれません。
例えば、入社したばかりの新人ドライバーなら、基本給+ほんの少しの成果給で、10万円前後しかもらえない、という可能性もあります。逆に、夜勤が多い大ベテランのドライバーで売り上げが月に70〜80万円を超えるような場合は、月に40万円以上の給与も夢ではありません。
インセンティブの仕組み
インセンティブは成果に応じて支払われる歩合給のことで、タクシー業界の場合、ドライバーが得た売り上げに応じて支払われることになります。多くのタクシー会社が採用しているのは、足きりと呼ばれるノルマを課すシステム。
簡単に説明すると、会社側から売り上げノルマが課され、それを超えた分だけインセンティブが発生する、というわけです。
例えば、会社から課せられるノルマが月10万円だったとして、自身の売り上げが40万円であれば、30万円分がインセンティブとなり給与アップにつながるわけです。もっと細かく計算すると、30万円のうち会社が定める何割かを引いた額が成果給として支払われることになります。
そもそも、足きり制度を設けていない会社もありますので、そのあたりは入社前に会社へ問い合わせてみましょう。
固定給はないの?
まだ入社したばかりでなかなか売り上げが上がらないドライバーさんの場合でも、給料が全く出ないということにはならないのでご安心を。1ヶ月勤務すれば、売り上げに関わらず、会社が定めた基本給は支払われます。ただし、かなり低い金額に設定されている会社が多いのでご注意。やはり売り上げを増やす営業努力は必要です。
タクシードライバーの平均的な収入をシミュレーションしてみよう
タクシードライバーの一ヶ月の平均勤務時間は約198時間です。時期や所属企業の人員などにより変動はありますが、全体的に見てこのくらいの時間が平均とされています。一回の勤務時間は長いですが、一ヶ月の勤務日数は10日程度と少な目です。
平均的な数字を元に、収入をシミュレーションしてみましょう。たとえば一ヶ月の勤務時間が201時間と仮定すると、合計11日の出社で一日18時間勤務となります。一日の平均の売り上げが5万5,500円とされているので、一時間当たり換算で3,080円。
そのうち6割が給与とすると、時給換算で1,850円になります。これに平均勤務時間の198時間を掛け算すると、一ヶ月の平均的な収入は36万6,300円です。
乗車率の高い東京23区での年収はいくらになる?
上記の収入はあくまで平均で、場合によっては下回ることもあれば、上回ることもあります。ポイントを押さえた営業をすれば、一般的なサラリーマンと比べはるかに多く稼げるタクシードライバーになれるでしょう。特に乗車率の高い東京23区内であれば、年収800万円になるケースも少なくありません。
売上をアップさせるポイント
営業回数を上げる
営業回数とは、一時間あたりのタクシーの乗車数のことを指します。一時間の中でより多くの乗客を乗せることができれば、売上アップにつながるという仕組みです。タクシーの給与は歩合制で、乗客数に比例して給与がアップします。
一時間という区切りをつけて営業回数を上げる努力をすれば、自然と売上がアップするでしょう。
常務回数が1.2倍になったら?
営業回数を1.2倍に上げると仮定して、シミュレーションしてみましょう。平均乗車回数は37回で、これに売上単価平均を掛けると一日売上は5万5,500円です。歩合が60%で11連勤すると、先述の36万6,300円が平均月収となります。
営業回数が1.2倍になると仮定するときは、平均乗車数37回に×1.2の計算となります。この数字もとに勤務日数と歩合を同じ条件にして計算すると、月収は43万9,560円と大幅にアップ。差額は7万3,260円となり、たった1.2倍のアップでこれだけの収入になります。
勤務時間を増やす
営業回数を増やす以外にも、勤務時間を増やすだけでも売上はアップします。単純ですが、勤務時間が長くなればなるほど乗客数が増える機会も多くなり、それだけ給与に反映されるのです。
一日の勤務をいつもより一時間長くする、勤務日を数日増やすなど、より多くの乗客を取り込む機会を増やしましょう。ただし、タクシードライバーの一回の勤務時間は長いので、勤務時間や勤務日数の増加はそれだけ体に負担がかかります。
生活も不規則になるので、自分の体調をきちんと管理して無理のない範囲で勤務時間を増やすといいでしょう。
客単価を上げる
売上アップのちょっとした工夫です。客単価を上げるというのは、元の金額を上げるのではなく、お客様により長く乗ってもらうための工夫をする、ということ。つまり、長く乗ってもらえるようなポイントを狙い営業を行い、そこでお客様を捕まえて利用してもらうのです。
走行距離に応じて料金が貰えるという、タクシーの特性を活かした売上アップの工夫と言えます。
目指せ!年収600万円
年収600万円にするには、勤務時間と勤務日数を増やすだけでなく、営業回数を増やす工夫が必要です。先述の36万6,300円を平均月収として考えると、営業回数は1.2倍、勤務日数は13日、歩合は62%出してくれる会社で働くことが条件となります。
この3つの条件をクリアすれば、計算して55万9,120円の月収になり、年収600万円の達成が可能です。ただし、勤務日数が厳格に定められている、歩合が62%以下の会社に所属した場合、年収600万円は厳しいでしょう。まずは肝心の会社選びから始める必要があります。
月収50万円の内訳
月収50万円の内訳をもう少し詳しく見ていきましょう。上記の条件で働ける環境と仮定すると、平均乗車数37回に営業回数1.2倍を掛けます。これに平均単価の1,500円を掛けて、13連勤も掛けましょう。
すると、月間売上は90万1,810円となります。歩合が62%の場合、この数字に0.62を掛ければ、月収は55万9,120円です。
年収が少ないタクシードライバーとは?
もちろん、すべてのタクシードライバーが上記のような数字を出せるわけではありません。タクシードライバーの給与は歩合制、結果を出せば出した分だけ反映されるのです。給与に関してはかなりシビアな世界と言えるでしょう。
年収が少ないタクシードライバーは、単純に歩合が少なく、お客様を乗せていないドライバーだということ。たとえば、接客態度が悪かったり、営業効率の悪い場所ばかりに行ったりするなど、さまざまな要素が考えられます。
会社からの歩合が低いため給与も少ないという場合もありますが、近年はタクシー業界全体がクリーンになっているのでこのケースは少ないでしょう。
月収15万円の内訳
年収が少ないタクシードライバーの月収を15万円と仮定した場合、乗車回数は平均回数37回の約半分です。0.5を掛けると、一日の売り上げを2万7,750円と算出されます。この売り上げで平均勤務数の11日間しか働かなかった場合、月収は15万2,620円という数字になってしまうのです。これが15万円の内訳です。
効率よく業務をこなすポイント
タクシーの需要が多い地域の特徴を知る
効率よく稼ぐためには、まずタクシー需要が多い地域の特性を調べましょう。この地域は何曜日、どの時間帯がより活発になるのか、逆に人が少なくなる時間や曜日はいつか、この2つを見極めてください。
活発になる時間帯になれば、自然とタクシー利用者も増加します。さらに、どんな人が利用するかも調べれば、営業回数アップへの近道に。やみくもに営業するのではなく、まずは需要が多い地域の特徴をきちんと調べましょう。
収入アップを見込めるタクシー会社を選ぶ
タクシードライバーの仕事で稼ぐには、勤務先の選定も重要です。稼ぐための重要な第一歩と言ってもいいでしょう。まず、会社の歩合を調べてください。歩合率が高ければ高いほど、給与に反映される数字も増えます。
自分の提示する条件の中で、なるべく歩合の高い会社を選びましょう。また、会社の人気度も重要です。人気が高ければ高いほど利用者も多く、売上につながります。迎者数、法人契約数、地域の人の声など、多角的に調べてください。
稼働率・歩合率をチェック
先述の歩合率の高さも重要ですが、会社所有のタクシーは実際どのくらい使用されているか、稼働率をチェックするのも大切です。会社の平均売上数字は、タクシーの稼働率により変動します。
稼働平均が高ければ一回の営業で得られる報酬も高く、一日の売上、月収、年収と影響してくるのです。稼働率が高い会社は所有しているタクシーがほぼ休みなく動いているということで、それだけ需要があると言えます。
タクシードライバーの給与は歩合制なので、稼働率が高ければ乗客数も自然と多くなり、給与アップにつながります。ただし、稼働率が高すぎる会社はシフトの融通が利かない場合もあるので、ライフスタイルに合わせてちょうどいい稼働率の会社を見極めましょう。
無駄な時間を無くす
タクシードライバーで稼ぐには、時間の上手な使い方を身に付ける必要があります。たとえば、お客様を拾って送り届けたら拠点に戻らずその場で営業する、もしくは近場の活発なエリアに移動するなど、戻る時間をうまく短縮しましょう。
戻る時間も営業時間に充てることで、効率よく乗客数アップが期待できます。
観察力と予想力を身につける
単純ににぎわっているから、という理由でそのエリアで営業をしても、思ったような成果は得られません。エリアの中でも特にタクシー利用者が多そうな場所や道を見つける観察力が大切です。
観察力は一朝一夕では身につきません。エリア情報の収集をしながら経験値を溜めていきましょう。また、どの時間帯が活発になるか、どこにお客様がいるかという予想力も大切です。観察力と予想力、この2つがうまく組み合わさることで、稼げるドライバーになれます。
エリア別のタクシードライバー平均年収
世田谷区などの東京23区南部
東京区内でも高所得者が多いエリアが、世田谷区を含む東京23区の南部。住宅街が多く建ち並び、都心の中でも生活感があるのが特徴的です。また、都内でも有数の自然が多いエリアでもあり、住民以外にも都心に住むファミリー層に人気があります。
このエリアから川崎や横浜へ行く方も多く、大田区には羽田空港が。立地的に、東京23区南部のタクシーの利用客は遠くまで利用することが多いのが特徴です。企業により異なりますが、200万から400万の年収が得られ、都内でも稼ぐチャンスが多くなっています。ただし歩合制の場合、年収はこの限りではありません。特に、長距離利用者が多いこのエリアは努力次第で年収が大きく左右されます。墨田区や江東区などの東京23区東部
東京23区東部は葛飾や浅草など、昔の面影が残るエリアです。いわゆる下町で、都内でも落ち着いた雰囲気で昔からの住民が数多く住んでいます。しかし一方で、江東区を含む湾岸地帯は開発が進んでいるエリアです。新しい商業施設や住居の建設が進み、新しく住む方も増えています。
このように、東京23区東部は新旧入り混じるエリアで、タクシーの利用客も様さまざまです。タクシードライバーの年収は250万円前後が一般的で、稼げると言われている都内でも少なめの場所と言えます。
ただし、歩合制を採用している会社の場合、倍近い年収を得ている方も。23区東部は流しが中心で、新参者には厳しいという見方もあります。病院通いなど、常連客で稼ぐ方が多いようです。
都内でタクシードライバーにおすすめのエリア
都内でタクシードライバーにおすすめのエリアが都心3区。中央区、千代田区、港区を指す都心3区は、住居の数が多く企業の本社も多いエリアです。人口が減り続けているほかのエリアと比べ、都心3区は人口が増加傾向にあり、都心の中心的な場所と言えます。
商業施設も多く、時代と共に変化し続ける場所です。人口が多ければタクシー利用者も多くなるので、初めての方でも安定して稼ぐことができます。世田谷区などの東京23区南部もおすすめのエリアです。高所得者が多く住居が建ち並ぶ場所なので、タクシー利用者も自然と多くなります。また、長距離移動でタクシーを利用する方も多いので、歩合制の給与体系で稼ぎたい方にとって狙い目の場所です。
1ヶ月の売上100万円を達成しているドライバーの行動とは?
大前提となる話ですが、タクシードライバーの稼ぎは、地域によって差が出てしまうことは避けられません。
「全国ハイヤー・タクシー連合会」の報告によると、全国でもっともタクシードライバーの平均年収が高い地域が東京。東京のタクシードライバーの平均年収は約418万円です。
それに対して、もっとも平均年収が低い地域が秋田。秋田のタクシードライバーの平均年収は約226万円です。東京とくらべ、約2倍の差があります。
これら地域差による稼ぎの違いは、どうしても避けられません。一方で、同じ地域の中でも、他のドライバーより大きく稼いでいるドライバーがいることも事実。以下、東京で1ヶ月の売上100万円をあげているドライバーAさんの具体的な行動を見てみましょう。東京で100万円あげられるならば、秋田でも50万円あげられるという推算になります。
イベント情報をチェックする
地域で大きなイベントがないかどうか、かならず事前にチェックしています。タクシーを利用する人が多いと予想されるイベントでは、会場付近で営業することが多いそうです。 また、土日の大安吉日には、結婚式場付近で乗客を探すことがあるとのこと。結婚式の進行を考え、乗客がいなくなるタイミングで休憩をとっているそうです。
街の情報に敏感になる
六本木のロアビルが大地震で倒壊する恐れがあると公表され、ビルからテナントが多く撤退し、かつ付近には若者の数が減りました。これら若者は、ロアビル付近から別のエリアへと移動しています。 こうした街の情報や人の流れに敏感になることが、効率的な営業に役立つとAさんは語ります。
お客さんから情報を得る
お客さんとのコミュニケーションの中には、タクシードライバーでも知り得ない重要な情報が潜んでいることがあります。単なる世間話として流さずに、お客さんの言葉の中に、営業に役立つ情報が隠れていないかを考えながら会話しているそうです。
Aさんは、以上の行動について、毎日こまめにメモに残しておくそう。ここ4年間におけるメモの量は、大学ノートで実に4冊分にもなったそうです。このメモを復習して頭に入れながら、毎日の営業に活かしているとのことでした。
では逆に、稼げないドライバーの行動はどんなものでしょう?稼げないドライバーの典型的な行動パターンを2つ見てみます。
やみくもにタクシーを走らせている
土日のビジネス街が閑散とするように、曜日や時間によって、人の流れは大きく変わります。逆に、普段は閑散とした場所でも、土日にイベントが開催されて賑わうこともあります。 これら人の流れを考慮せず、やみくもにタクシーを走らせているドライバーは、あまり稼ぐことができないようです。
情報をアップデートしない
人が日々変化するように、街も日々変化しています。過去に稼げた場所でも、今は稼げないこともあるでしょう。過去の情報は大切ですが、その情報が今も活きている情報となるかどうか、よく調べてみることが大切。常に街の情報をアップデートしなければ、稼げるドライバーにはなりません。
稼いでいるAさんの行動に照らしてみれば、稼げないドライバーは、要するに頭を使わずに営業しているということ。Aさんは稼ぐために、一生懸命情報を収集し、頭を使って営業しています。頭を使っているとは言っても、決して特別なことをやっているわけではありません。その行動は、いたって愚直です。一方で稼げないドライバーは、体だけ動かせば稼げると思っているフシがあります。
稼ぐためには、体はもちろんですが、頭もよく使って行動することが大事なことを、Aさんの行動は教えてくれます。
実際のタクシードライバーに給料について聞いてみた
- ドライバーの給料は、経験や勤務する場所、時間に大きく左右されます。夜勤が多い人の方が日勤の人より稼げますし、都心の方が田舎よりも初乗り運賃が高いので売り上げも高くなります。個人の努力次第なので何とも言えませんが、日勤が多い初心者の私の場合は、平均して月の手取りが25万円前後のことが多いです。
- 働き始めたばかりの頃は、仕事に慣れずなかなか売り上げが上がらなかったので、月収は16万円くらい。2年勤務した現在は、30万円前後まで上がっています。