資格
タクシーの運転手は、お客さんを安全に迅速に目的地へ送り届けるため、自動車運転に関する資格や、その土地に関する知識が必要となります。タクシー会社によって、入社の前に資格が必要となる場合もありますし、入社してから取得のための補助や訓練を行っている会社も。ご自身の取得免許や入社を希望する会社の要件などを確認しておきましょう。
タクシードライバーに必要な資格その1 二種免許
二種免許とは、自動車運転に関する資格のひとつで、正確には第二種運転免許というものです。
乗車定員10名以下の普通乗用車を運転するために、通常は普通第一種免許を取得します。タクシーのように商業目的で乗客を運送する場合には、さらに普通第二種免許を取得する必要があります。
第二種免許を取得する条件は、以下のようになります。
二種免許取得の条件
- 満21歳以上
- 普通、中型、大型の自動車、大型特殊自動車のいずれかの第一種免許を取得しているもので、運転経歴が3年以上経過していること。
上記のような要件を満たしている方なら、自動車教習所で学科教習や技能教習を受けたりして準備し、検定に合格すれば二種免許を取得できます。要は運転免許試験場でのテストに合格すればよいので、独学で準備しても合格の可能性はあります。
タクシードライバーに必要な資格その2 地理試験
東京都内や大阪府内、神奈川県の横浜市や川崎市、横須賀市、三浦市のタクシー会社を希望している方は、地理試験に合格する必要があります。
地理試験は、東京の場合は東京タクシーセンターという公益財団法人が行う試験で、「タクシー事業に関する法令」と「当該指定地域に関わる地理」という2科目で80%以上の得点で合格となります。
一般受験と新規講習時受験があり、新規講習時受験はタクシー会社が入社後の新任研修として受験する場合に事業者側から申し込みを行います。
正答率80%は意外と難関で、再試験となる人も多いようです。東京タクシーセンターのホームページなどで過去問が公開されているので、試験対策をしっかり行いましょう。
タクシー会社に入社する前に資格は必要なのか?
二種免許も地理試験も、入社後に資格取得または受験が可能です。
あらかじめ資格を持っている方は有利と言えますが、持っていない方でも第一種運転免許の普通免許を取得していれば、特に問題はありません。
入社後に二種免許取得や地理試験合格のための対策や補助など、ケアしてくれる会社がほとんどです。
資格の取得要件が緩和される可能性も?
二種免許を取得するための要件として定められている、運転経験について、多少緩和する可能性が出てきています。
警視庁は、まず大型二種取得の際の運転経験を現行の3年以上から1年以上に短縮するよう検討を始めているそうです。現在は大型二種について検討されていますが、今後は普通二種なども対象となる可能性があります。
また、取得要件の満21歳以上という年齢要件も緩和できるかどうか、検討を行うそうです。
資格取得を支援してくれるタクシー会社も
タクシードライバーの会社は全国各地にあり、企業によって働き方やサポート体制もさまざまです。タクシードライバーと言うと「キツくて厳しい」というイメージを持っている方も多いですが、近年では業界全体でこのイメージが変わってきています。その取り組みの一つが、資格取得支援です。タクシードライバーになるには二種免許が必要ですが、企業によっては免許取得を全てサポートしてくれるところがあります。自動車学校と提携しているタクシー会社も多く、短期間で免許取得が可能です。気になる資格取得のための費用ですが、企業によっては全額負担してくれる場合も。入社祝い金を払ってくれる企業もあります。転職組など、初期費用を抑えたい方には嬉しいサポートです。
特殊なタクシードライバーのための資格
介護タクシードライバー
介護タクシーは、公共交通機関を利用できない高齢者や障がい者を対象として、専門の車とドライバーを利用できるサービスです。病院に行きたいけれど車がない、公共交通機関の利用が難しいという方に注目を集めています。近年ではリフト付きやノンステップタイプ、車いす用のストレッチャー付きなど、車の種類もさまざま。介護タクシードライバーになるには普通自動車免許が必要ですが、場合によってはワゴン車など大型の車を運転する必要があります。そのため、これらの車のドライブ経験があるとドライバーとして採用されやすいです。介護タクシードライバーは利用者を目的地まで送り届けるのがメインの仕事なので、免許以外の資格は特に必要ありません。
介護保険タクシードライバー
介護保険タクシードライバーは、普通自動車免許に加え、介護職員初任者研修が必要となります。介護職員初任者研修は旧ホームヘルパー2級以上にあたり、130時間の講習を受ければ誰でも取得できる資格。取得方法は複数あり、通信教育や土日、夜間のスクールなど、自分のライフスタイルに合わせた方法で取得が可能です。必要な費用は6万円から15万円ほど、筆記試験に合格した後資格取得となります。仕事内容も通常のドライバーとは異なり、病院内への付き添い、送迎時の乗降介助といった介護サービスが必要に。介護保険タクシードライバーは、運転以外にも求められる仕事の幅が広く、利用者によって臨機応変な対応が必要です。